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1.流体解析の基礎方程式|流体解析入門

はじめに

本講座では数値流体解析(CFD)を適切に実施する上で必要になる知識をまとめていきます。流体解析と言っても様々な分野がありますが、ここでは非圧縮性の単層流で熱を含まない流れを対象とします。流体解析では最も基本的な分野です。

ナビエ-ストークス方程式

まずは流体解析の基礎式について確認しておきます。ここでは粘度が一定のニュートン流体で非圧縮性を想定します。

流体解析の基礎式はナビエ-ストークス方程式 と呼ばれ、下式のようになります。


・・・(1-1)


・・・(1-2)


・・・(1-3)

u,v,w:x,y,z方向の流速、p:圧力、ν:動粘度

ナビエ-ストークス方程式は見た瞬間に思考が停止してしまうくらい非常に複雑な式です・・。この式の導出から説明するのも大変なので(そもそも私には説明できない)ここでは紹介のみとさせてください。

ちなみに上記のようにナビエ-ストークス方程式は3つの方程式がセットになっていますが、これを毎回書くのは大変なので、以後ここでは下式のような縮約記法を用いた表現とします。

・・・(1-4)

この縮約記法では添字i,jの値が1でx方向成分、2でy方向成分、3でz方向成分を表します。また同じ項で添字が重なる場合はその添字について和をとる、というルールがあります。これにより3つの式からなるナビエ-ストークス方程式を1つの式で簡単に表記することができるようになります。

ナビエ-ストークス方程式の各項にはその役割から名前がついていまして、式(1-4)の左から、時間項、移流項(対流項)、圧力項、粘性項と呼ばれています。

連続の式

流体解析の支配方程式は前述のナビエ-ストークス方程式だけでは不完全で、以下の連続の式も同時に考慮して解く必要があります。

 ・・・(1-5)

前述の縮約記法で表すと

 ・・・(1-6)

連続の式は、“流体が途中で湧き出たり消失したりはしない”という当たり前のことを表します。

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