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15.応力拡大係数|材料強度学

まずは応力拡大係数の定義式を以下に示します。これらは覚える必要はありません。ざっと眺める程度でよいと思います。

応力拡大係数の定義式

き裂先端近傍の応力場を、き裂先端を中心とした極座標系(r,θ)で表すと次のようになります。

モードI

 ・・・(15-1)
 ・・・(15-2)
 ・・・(15-3)

KI:モードIの応力拡大係数

モードII

 ・・・(15-4)
 ・・・(15-5)
 ・・・(15-6)
KII:モードIIの応力拡大係数

モードIII

 ・・・(15-7)
 ・・・(15-8)
KIII:モードIIIの応力拡大係数

応力拡大係数は線形弾性材料が前提となります。

応力拡大係数の意味

上記のように応力拡大係数の定義式はやや複雑ですが、いろいろ省略して簡単に表記すると以下のようになります(かなり強引な簡略化ですが・・)。

 ・・・(15-9)

つまり、応力場をき裂先端からの距離rと角度θの関数として表した時の比例定数が応力拡大係数Kとなります。言い換えれば、rおよびθとσの関係には、ある一定の関係があって、それを結び付けているのが応力拡大係数Kだということです。Kを用いれば、応力が無限大となる特異点(r=0)でも理論が破綻せずに評価を行うことが可能になります。

と言っても式(15-9)ではその特徴が捉え難いので、代表的なモードを例に更に説明します。

まず、き裂の進展はモードIの影響が大きいとされていますので、モードIを取り上げます。また考察する応力場をき裂面と同じ方向上(θ=0)とします。そうしますと、式(15-2)は下式のようになります。

 ・・・(15-10)

実務的には上式を覚えておいた方が便利です。応力はr=0で無限大になる特徴も把握できます。ここで、rにはルートがかかっていますので、応力は1/√rの特異性があると言うことがあります。

更に式(15-10)を少し変形しますと、下式のようになります。

 ・・・(15-11)

この関係を用いると、裂先端の応力分布からモードIの応力拡大係数KIを求めることができます。応力拡大係数を求める機能のない解析ツールを使用する場合には簡易的に式(15-11)を用いて、き裂先端の応力分布から応力拡大係数を求めることができます。

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