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17.J積分|材料強度学

応力拡大係数やエネルギー解放率は線形弾性材料が前提となっているため、き裂先端の広い領域で降伏するような応力状態では正しく評価することができません。そのような状況ではJ積分で評価する必要があります。

J積分は弾性材料に対して適用されるエネルギー解放率の考え方を、非線形材料にまで拡張したものと解釈することができます。よって弾性材料に対するJ積分はエネルギー解放率と同じになります。

J積分の定義式

J積分の概念的な定義は下式のようになります。

 ・・・(17-1)

J:J積分、Π:ポテンシャルエネルギー、A:進展したき裂面の面積

物体力、慣性力、初期ひずみがない時のJ積分は、き裂先端を含む経路Γに沿った線積分として下式のように表すことができます。

 ・・・(17-2)

W:ひずみエネルギー密度、{T}:Γ上の表面力ベクトル、
{u}:変位ベクトル、{n}:Γ上の法線ベクトル

ここで、ひずみエネルギー密度Wは下式で表されます。

 ・・・(17-3)

表面力ベクトル{T}は下式で表されます。

 ・・・(17-4)

下図はき裂先端とその周囲の積分経路Γを示したものです。Γは適当な曲線になっていますが、J積分は積分経路に依存しないという性質を表現しています。正確な円弧でも構いません。

CAE技術者でJ積分を自分で計算する人は少ないと思いますので、これらの式を覚える必要はありません(覚えておいて損はないですが・・)。しかし解析ツールを使ってJ積分を評価することはあると思いますので概念だけは理解しておいた方が良いと思います。

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