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11.断面二次モーメント|材料力学

断面二次モーメントは材料力学において非常に重要な意味を持つパラメータの一つと言えます。部材の強度や剛性を計算するときはもちろん、振動特性・座屈などあらゆる場面で登場する概念です。これを理解せずに材料力学をマスターすることはできません。

断面二次モーメントの定義


図11-1

まずは定義を見ていきましょう。図11-1に図心を基準とした任意断面を示します。

定義としては断面一次モーメントと似ていますが、yが2乗されている点が異なります。そう、2乗されているから二次と言います。前項では1乗なので断面一次モーメントと言います。

断面二次モーメントの定義式

・・・(11-01)

・・・(11-02)

x軸に関する式は式(11-01)、y軸に関する式は式(11-02)となります。前項の断面一次モーメントは図心を求めるために計算していたので、基準の座標系はどこでもよかったのですが、断面二次モーメントはそれそのものを利用するので、基準座標系が重要になります。数学的な定義としてはどの座標系でも問題ありませんが、断面の強さを表す断面二次モーメントは通常問題の断面の図心を基準する必要があります。この基準を間違えると、強度や剛性の判断を間違えてしまいますので注意してください。図心は前項で説明したように断面一次モーメントから計算することができます。

具体例


図11-2

角材の断面二次モーメント

具体例を示します。図11-2にやはり図心を基準とした角材の断面を示します。この断面の場合、図心は求める必要もなく、それぞれの辺の中心になります。

まずx軸に関する断面二次モーメントを求めます。図中の赤いエリアは積分の考え方を示すための仮想的なものです。dyは限りなく0に近いと考えてください。

この赤いエリアの面積はb×dyで、定義式のdAに相当します。そしてx軸からdAまでの距離yを2乗したものを乗じて、断面の縦寸法に亘って積分します。この場合-h/2〜h/2の範囲となりますね。式(11-03)がこれを式で表したものです。

・・・(11-03)

・・・(11-04)

・・・(11-05)

・・・(11-06)

式(11-06)がx軸に関する断面二次モーメントになります。このような矩形断面の断面二次モーメントはよく使いますので覚えておいてもよいと思います。しかし、考え方は理解しておいてください。そうすればいざという時簡単な手計算で求めることができます。

また、更に複雑な断面でも実は矩形断面の組み合わせで表現できることが多いので、矩形断面のやり方を理解しておけば、ある程度複雑断面にも対応できるようになります。

ちなみにy軸に関する断面二次モーメントも計算方法は同じですので説明は省略します。結果としてはbとhを入れ替えたものになります。

並行軸の定理


図11-3

断面二次モーメントの計算において、ある意味セットとして理解しておきたい公式があります。それは並行軸の定理といって、図心基準の断面二次モーメントから任意の軸基準の断面二次モーメントを求める時に利用することができます。

例えば図11-3の例で説明すると、図中点線の長方形断面をx方向にx、y方向にy移動させた時の断面二次モーメントは以下の式で表すことができます。'付が移動後です。

・・・(11-07)

・・・(11-08)

つまりは、図心基準の断面二次モーメントに移動距離(図心からのずれ)の2乗と断面積Aを乗じたものを足し合わせるだけです。この公式を多用すれば、複雑断面の断面二次モーメントを比較的簡単に求めることができるようになります。

H型鋼の断面二次モーメントを計算してみる


図11-4

例として図11-4のようなH型鋼のx軸に関する断面二次モーメントを並行軸の定理を用いて求めてみます。図ではH型鋼の上半分を示しています。

ここで計算を簡単にするため、図の紫のエリアを断面A、赤のエリアを断面Bとし、それぞの断面二次モーメントをまず求めます。

A断面(紫のエリア)の断面二次モーメント

・・・(11-09)

B断面(赤のエリア)の断面二次モーメント

・・・(11-10)

これらを並行軸の定理で図の配置に移動させて連結します。今上半分を計算していますので、全体の断面二次モーメントは1/2になります。上付きのA、Bは断面名です。

・・・(11-11)

これを計算していきますと


・・・(11-12)

・・・(11-13)

(注意:有効桁の問題がありますがここでは無視)

ちなみに、積分を使っても解いてみましょう。

・・・(11-14)

・・・(11-15)

・・・(11-16)

並行軸の定理を使った結果と同じになりました。今回は積分を使った方が簡単そうですが、形状によっては並行軸の定理を使った方が簡単なものもあるでしょう。状況に応じて使い分けられるようにしてください。

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