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13.部材に働く力と応力|材料力学

材料力学では部材に働く力をマクロな視点でとらえ、それにより発生する応力を公式により求めます。もちろん細かい形状による影響は無視されるわけですが、この考え方としては非常に重要で、FEMを使わずとも大まかな検討はほとんどこれだけで十分な場合もあります。

本項では部材に働く代表的な力と、それにより発生する応力について説明します。

部材に働く力と応力

まずは右の図13-1を見てください。 ここでは部材に働く力というものを次の3つに分類します。


図13-1
  • 引張りまたは圧縮
  • 曲げ
  • ねじり

図では引張りと圧縮で別に書いていますが、単純に向きが異なるだけなので一緒として扱います。曲げやねじりにもそれぞれ方向がありますので同じです。

多くの構造部材が受ける力はこの3つに大きく分類できるのではないでしょうか。逆に無理やりこの3つに分類して材料力学的手法で検討できるようにするのが技術者の腕の見せ所でもあります。何もかもFEMでモデル化して検討というのではなく、まずは材料力学的手法に落とし込み、検討してみることが重要です。

さて、それぞれの力で発生する応力を求めていきましょう。

引張りまたは圧縮力で発生する応力

これは応力の定義の項で説明した状況そのままですが、改めて説明します。


図13-2

引張りまたは圧縮力で発生する応力は、部材に働く力Fをその部材の断面積Aで除したものになります。

 ・・・(13-1)

σ:応力、F:荷重、A:断面積

この時、引張りの場合は+(正値)、圧縮の場合は-(負値)と定義されています。

また、この部材の荷重Fによる伸びをδとすると、伸びδは下式(13-2)のようになります。

 ・・・(13-2)

δ:伸び、F:荷重、L:長さ、E:縦弾性係数、A:断面積

式(13-2)を力と伸びの関係でみるとEA/Lは棒材のばね定数に相当し、引張りまたは圧縮に対する剛性を司るパラメータということができます。

曲げ力により発生する応力

次に曲げ力によって発生する応力を考えますが、曲げ力とはどのようなものかをまず定義しなければなりません。最も単純な曲げのイメージは次の図13-3のような片持ち梁だと思います。


図13-3

このとき部材の拘束部(左端網掛け部)付近では大きな曲げ力が発生していることは容易に想像できます。この曲げ力を表すために、モーメントという概念を用います。モーメントMは力Fと、Fが作用している部位までの距離Lを乗じたものになります。これを式で表したものが式(13-3)です。

 ・・・(13-3)

M:曲げモーメント、F:荷重、L:長さ

モーメントMに加わった部材に発生する応力σは、Mを断面二次モーメントIで除して、図心を通る基準軸からの距離yを乗じたものです。これを式で表したものが式(13-4)です。

 ・・・(13-4)

σ:曲げ応力、M:曲げモーメント、I:断面二次モーメント、y:基準軸からの距離

ここで断面二次モーメントIが出てきました。断面二次モーメントは図心を基準として求めましたが、yというのは、その基準となる軸からの距離になります。つまりx軸に関する断面二次モーメントであれば、y方向の距離です。そして通常応力は部材表面上でどうなるかを知りたいことが多いので、yは実質基準軸から部材表面までの距離を用いることが多いです。

yは実質部材表面までの距離をとることが多いので、以下の式(13-5)を導入してより簡単に表記することが多いです。これを断面係数と呼び、記号はZを用います。

 ・・・(13-5)

I:断面二次モーメント、y:基準軸からの距離(ここでは部材表面までの距離)、Z:断面係数

したがって断面係数Zを用いて、曲げモーメントMによって部材表面に発生する応力σを求める式は、下式(13-6)になります。

 ・・・(13-6)

σ:曲げ応力、M:曲げモーメント、Z:断面係数

変形量vは下式(13-7)のようになります。vは図13-3の状況で荷重点での下向きの変位を表しています。

 ・・・(13-7)

v:変形量、F:荷重、L:長さ、E:縦弾性係数、I:断面二次モーメント

ねじり力により発生する応力

次にねじり力により発生する応力を求めます。その前にねじり力とはどのような力なのか説明します。

図13-4は丸棒部材を軸方向から見た図です。つまり青色の円は丸棒の断面形状を表しています。そしてさらに丸棒部材の先端に、丸棒の軸に直角な方向に長さLの棒(灰色の棒)を接続した状況を考えます。


図13-4

この時、灰色の棒の先端に下向きの力Fを与えると青色の丸棒にはねじりの力が発生します(この場合実際には曲げの力の発生しますがここではとりあえず説明上無視します)。そしてその丸棒に加わるねじり力は、トルクと呼ばれまして式(13-8)で表されます。ここでは記号Tで表すこととします。

 ・・・(13-8)

T:トルク、F:荷重、L:力点までの距離

よく見るまでもないですが式(13-3)のモーメントの式と同じです。実はモーメントとトルクは同じような概念です。モーメントのうちある特定の軸周りの回転を表す時、それをトルクと呼びます。

このトルクを用いて応力を計算する式が下式(13-9)です。これは垂直応力ではなく、せん断応力を表します。こうすると式(13-4)の曲げモーメントから応力を求める式と同じ形式になります。

 ・・・(13-9)

τ:せん断応力、T:トルク、Ip:断面2次極モーメント、r:軸のからの距離

ここでもやはり、軸からの距離rは主に軸の半径を用いることが多いため、式(13-10)を導入します。これは極断面係数と呼ばれ、ここではZpの記号を用いることとします。

 ・・・(13-10)

Ip:断面二次極モーメント、r:軸の半径、Zp:極断面係数

したがって断面係数Zpを用いて、トルクTによって部材表面に発生するせん断応力τを求める式は、下式(13-11)になります。

 ・・・(13-11)

ねじり力による変位は軸のねじれ角で表します。式(13-12)でねじれ角θを求めることができます。また丸棒部材の長さlでねじれ角θを除し、単位長さ当たりのねじれ角で表すこともあります。

 ・・・(13-12)

θ:ねじれ角、T:トルク、l:部材長さ、G:横弾性係数、Ip:断面二次極モーメント

以上が部材に働く代表的な力と、その力で発生する応力及び変位を計算する式を紹介しました。材料力学で大事なことは、部材に働いている力を各種力学計算で推定し、その力によって発生する応力を計算することです。

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